部下が指示待ちになるのは上司のせい?自分から動き出したチームの記録

部下が指示待ちになるのは上司のせい?自分から動き出したチームの記録 実践ガイド
Rate this post

この記事でわかること

  • 指示待ちは本人の性格の問題ではないという見方
  • 指示を細かくするほど動かなくなる理由
  • 「自分ごと」に変わるきっかけのつくり方
  • 実際に動き出したメンバーの記録

「言われたことしかやらない」「自分から動いてくれない」。指示待ちの部下に悩むマネージャーは多いです。

ぼくも同じ悩みを持っていました。でも指示待ちは、本人の性格ではなく関わり方の結果であることが多い、というのが5年やってみての実感です。

この記事では、実際にチームで起きたことをそのまま書きます。

指示待ちは部下の性格の問題か?

「あの人はもともと受け身だから」で片づけると、そこで打つ手がなくなります。

でも同じ人が、別の仕事では驚くほど動くことがあります。ぼくのチームにも、報連相もなく仕事の依頼も受けなかったメンバーが、あるテーマだけは自分から動き出したということがありました。人が変わったわけではありません。仕事とのつながり方が変わっただけです。

指示を細かくするほど、部下は動かなくなる

動かないメンバーを前にすると、指示を具体的にしたくなります。手順を決め、期限を切り、確認の頻度を上げる。

短期的には回ります。ただ「考えるのは上司の仕事」という役割分担が固定されていきます。次からは指示を待つほうが合理的になってしまう。指示の精度を上げるほど、依存が深まるという逆転が起きます。

もうひとつ、これまで「目標と現状の差(できないこと)」を埋めるよう求められてきた人ほど、自分の興味より足りないものに目が向く癖がついています。「今日、面白いと思ったことは?」と聞いても「経験不足なので、もっと勉強が必要だと思いました」と返ってくる。動く材料が本人の中で見えなくなっているのです。

動き出すのは「自分ごと」になったとき

目標に気持ちがのるためには、目標を達成していく道筋のなかに、その人の得意や興味・関心、大切にしていることがあったほうがよい。ここがいちばんの要点です。

目標そのものに興味がなくてもかまいません。道筋の中に「好き」があれば、それが継続的に取り組む動機になります目標のつくり方はこちらに詳しく書きました

「できないこと探し」ではなく、あるものを見る

スキルが「ない」部分を数えて不安になるのではなく、その人がすでに持っている興味・関心、強み、経験、価値観を、どんな仕事につなげていくかを考える。

「データの整理が好き」という興味があれば、まずはその「好き」を活かせる仕事から任せてみる。人は、自分が面白いと感じることには指示されなくても勝手にリサーチを始め、工夫を凝らします。この「勝手にやってしまう力」が、一人立ちを支えるいちばんの武器になります。新メンバーの育成でやったことはこちらです

実体験:「仕事をしない」と言われていたメンバーの話

2年前、あるメンバーの上司から「仲が良さそうだから引き取ってほしい」と相談されました。よく聞くと「まったく仕事をしない」というのです。紆余曲折あって、ぼくのチームの仲間になりました。

一緒に働いてみて、そう言われても仕方ないと理解しました。仕事の依頼は受けないし、報連相がほぼない。上司からは「あいつは何をやってるんだ?」と怒られます。

進捗報告が嫌な理由を聞くと、自分は仕事をうまくやれているし、あれこれ言われて仕事内容が変わると思ったように進まない、ということでした。以前のグループで肩身の狭い思いをしてきたようで、少し意固地になっているようにも見えました。

「好き」と「得意」をテーマにつないでみた

全社テーマを各担当に持たせてほしいという要請があり、誰に何を担当してもらうか考えました。そのメンバーには環境テーマをお願いすることにしました。

彼はサーファーで自然を愛しているし、外部の会社に動いてもらうコミュニケーションが得意だと自負していました。この2つは環境テーマを動かす大きな力になります。海洋プラスチックの話をすると、海岸のごみ拾いを手伝ったことがあるとのこと。これならいけるかもと思って聞いてみました。

ぼく:「環境テーマやってみない? 協力会社と協働していくことが多いし、適任だと思うんだよね」

メンバー:「え、いやだよ。大変だもん」

ぼく:「ぴったりのテーマだと思うけどなあ。何がいや? ぼくも手伝うよ」

メンバー:「報告資料作成したり、報告したりするのはいやだ。テーマ自体はいいと思う」

ぼく:「じゃあ、資料作成や報告はぼくと手分けしてやろう。それならいい?」

メンバー:「それならいいよ」

本来なら担当としてすべてお願いするところです。でもこれまでの仕事の仕方を見ていると、それは到底無理だと感じていました。まずはテーマを持ってもらうことをゴールにして、報告作業はぼくが受け持ってもいいと思っていました。

報告の8割を一人でこなすまでに

報告会では、そのメンバーが主役に見えるように配慮し、協力会社にバックアップをお願いしました。

少しずつ環境テーマへの思い入れが強くなっていき、7月の報告会では資料準備と発表の8割を一人でこなしていました。他の仕事でも報連相が出るようになりました。この話の全文はこちらです

指示を増やしたからではありません。本人の「好き」と仕事がつながったからです。

明日からできる3つのこと

① 「面白いと思ったこと」を1つ聞く

「今日1日で、少しでも『面白いな』『もっと知りたいな』と思ったことは?」。最初は「経験不足で…」と返ってくるかもしれません。それでも聞き続けてください。

② 得意・興味と仕事の接点を1つ探す

その人の趣味、前職、こだわり。仕事と関係なさそうなことほど手がかりになります。

③ 苦手な部分は引き受けてよい

全部を任せなくてかまいません。まず持ってもらうことをゴールにする。動き始めれば、引き受けた部分は自然と本人に戻っていきます。

よくある質問

Q. 興味を聞いても「特にない」と言われます

これまで「できないこと」を数える関わりが続いてきたサインです。すぐに答えが出なくても問題ありません。聞かれ続けること自体が、探す習慣をつくります。仕事以外の話から入るのも有効です。

Q. 苦手な作業を上司が引き受けるのは甘やかしでは?

恒久的に肩代わりするなら甘やかしですが、入り口を下げるための一時的な措置なら別です。実際、仕事への思い入れが強くなるにつれて、本人が引き受ける割合は増えていきました。

Q. 全員にこのやり方が通用しますか?

人によって時間のかかり方は違います。ただ「指示を細かくすれば動く」という前提を一度手放してみると、その人がすでに持っているものが見えてきます。そこからが出発点です。

実践ガイド
シンイチロウをフォローする
日替わり解決志向TIPS
日替わり解決志向TIPS
タイトルとURLをコピーしました