「メンバーが協力してくれない」「チーム内に壁がある」「他部門との連携がうまくいかない」。こうした悩みの根っこにあるのは、たいてい信頼関係の問題です。
ぼく自身、チームマネジメントの中で「信頼って何だろう」「どうすれば協力しあえる関係をつくれるんだろう」と、何度も悩んできました。
この記事では、チームの信頼関係を築き、メンバーが自然に協力しあえる組織をつくるための考え方と実践方法をお伝えします。
信頼されるチームとそうでないチームの違いは?
ぼくのチームで、メンバー間の嫉妬からコミュニケーションのトラブルが起きたことがありました。当時、ぼくは業務効率を優先するあまり、メンバーの気持ちまで聞く機会を減らしてしまっていたんです。そのメンバーが苦しんでいることに気づけませんでした。
結果、そのメンバーは異動希望を出すくらいつらい状況にまで追い込まれてしまったのです。すぐにフォローしたので異動には至りませんでしたが、メンバーの気持ちを知ることの大切さを痛感しました。
組織が機能するために必要な3つの要件とは?
組織論の研究者バーナードは、組織が成り立つためには3つの要件が必要だと提唱しています。
① 共通の目的
チームのメンバー全員が「自分たちは何のために集まっているのか」を共有していること。
② コミュニケーション
感情も含めてわかりあうこと。情報は隠さず出し合うこと。単なる報連相ではなく、意思の疎通と情報の共有がある状態です。
③ 貢献する意欲
メンバーが「このチームのために力を出したい」と思えること。これは命令や義務感からは生まれません。自分の存在が認められていると実感できるときに、自然と湧いてくるものです。
この3つのうち、どれかひとつが欠けてもチームはうまく機能しません。

相手を「協力者」と見つづけることで流れが変わるか?
解決志向のマネジメントで大切にしている姿勢があります。それは、どんなときも相手を「協力者」として見つづけるということです。
チームで仕事をしていれば、意見がぶつかることも、うまくいかないこともあります。そんなとき、相手を「敵」として見てしまうと、関係はそこで行き詰まります。
敵でも味方でもなく協力者。ぼくはそう思うようにしています。その前提があると、同じ状況でも関わり方が変わってきます。
ぼくが全社プロジェクトを進めていたとき、他部門との連携がうまくいかない時期がありました。1回目の取り組みで損失が出て、その部門は自分たちのやり方が悪くないと譲りませんでした。
でも、1回目の取り組みをよくよく振り返ると、うまくいったこともあったんです。その中には、その部門が工夫してうまく機能させたこともありました。2回目に向けた会議で、まずは1回目のうまくいったことを丁寧に共有しました。
すると、相手のメンバーはうなづきながら聞き、徐々に力強い目を向けてきました。その後の提案に対して、自分たちが何をしたらいいかを考えてくれたのです。相手のできているところを言葉にして伝えること。それが協力関係の土台になります。
信頼関係が築けた実体験から学んだことは?
エピソード1:相手にとって大切なことを大切にする
朝会で、あるメンバーが「別のメンバーからのチャットの言い方が気になった」と話し始めたことがありました。ぼくは次の仕事を気にして焦っていて、その話をスルーしようとしたんです。
これが良くなかった。そのメンバーは怒ってしまいました。ぼくには些細に見えても、そのメンバーにとっては大切なことだったのです。家庭の事情や仕事も立て込み、気疲れしている時期でした。
相手にとって大切なことを大切にする機会を逃してしまいました。この失敗から学んだのは、「今」の相手に向き合うことが信頼関係の土台だということです。
エピソード2:興味のある仕事が自走を生む
あるメンバーと一緒にセミナーを受講したときのことです。テーマはAI活用。セミナー中、そのメンバーは熱心にメモを取り、休憩時間には講演者と名刺交換をして質問までしていました。
興味があると、人はこんなにも前のめりになるのだなと実感しました。だからぼくは、メンバーの興味を知って、興味のある仕事をつくることを意識しています。もちろん会社の戦略の範囲内で。メンバーが興味を持てる仕事をアサインすると、自分から動き出してくれます。
チームの協力体制をつくる具体的なステップは?
ステップ1:チームの「共通の目的」を言語化する
「ぼくらは何のためにこのチームにいるのか?」をメンバーと一緒に言葉にしてみてください。押しつけるのではなく、対話の中で共有する。目的が明確になると、メンバーの行動に一貫性が生まれます。
ステップ2:小さな貢献を認める仕組みをつくる
ミーティングの冒頭で「最近、チームの誰かに助けられたことはある?」と聞く時間をつくってみてください。互いの貢献を言葉にする場があると、「自分もチームの役に立っている」という実感がメンバーの中に育ちます。
ステップ3:競争ではなく協働を選ぶ空気をつくる
評価や昇格が絡むと、メンバー同士が競争モードに入りやすくなります。そんなときこそ、お互いのできていることを言葉にして伝えあう場をつくってください。相手の貢献を認めあうことで、「敵」ではなく「協力者」という認識が育ちます。チームの中で協力者として関わりあう空気ができれば、自然と協働が生まれます。
よくある質問
Q. 信頼関係を築くのに、どれくらいの時間がかかりますか?
ケースバイケースですが、メンバーのできていることを言葉にして伝えることを意識し始めると、少しずつ変化が感じられるようになります。大切なのは、焦らず続けることです。
Q. 他部門との信頼関係はどう築けばいいですか?
まず相手部門の「うまくいっていること」に注目し、それを認めるところから始めてみてください。相手の貢献を認めることで対話の土台ができます。対立しているときほど、「この人たちも目的のために動いている協力者だ」という視点が効果を発揮します。
Q. メンバー同士の仲が悪いとき、リーダーとして何ができますか?
直接仲裁するよりも、「共通の目的」を改めて共有することが効果的です。「ぼくらは何のために一緒にいるのか」を対話の中で確認すると、個人間の摩擦よりも大きな目的に意識が向きます。そのうえで、それぞれの貢献を互いに認める場をつくってみてください。
