いろんな人と協力して仕事を進めるのが好き
ぼくは、いろんな人たち、いろんな組織と協力して仕事を進めるのが好きです。とはいえ、立場も意見も違う人間どうし。「満場一致」なんてそうそうあるものじゃありません。正直、大変な局面も多いです。
そんなとき、ぼくの背中を押してくれるのはいつも「あるものに目を向ける」という考え方です。これまでに何度、この「視点の転換」に助けられたかわかりません。
視点を変えれば、前進のエネルギーが湧いてくる
ぼくは困難に直面すると、下記のような見方を意識するようにしています。
見えないものを、見えるものへ
ないものより、あるものへ
できないことより、できる(た)ことへ
「違い」を見るより、「共通点」を見るへ
この視点に立つだけで、一人ひとりの内面やチームの中に、たしかなチカラが湧いてくる。問題との向き合い方が変わり、協力関係という土台ができていく。
そんな経験を何度も重ねてきました。これはとても実践的な示唆だと思っています。
「傾斜実験」が教えてくれる、チームの価値
心理学の知見で「傾斜実験(hill slope experiment)」というものがあります。
部下が一緒に山(困難)に立ち向かうとき、一人で山を見上げるよりも、仲間(や上司)と一緒に見る方が「山(困難)の傾斜が緩やかに見える」という現象です。
つまり、問題という困難も「自分一人で抱える」のではなく、「誰かと一緒に見ることができる」状況をつくるだけで、心理的な負担は驚くほど小さくなり、ときに立ち向かう勇気がわいてくる。
ここに、チームの価値がある様な気がします。そういえば、家族もおんなじだ。
チームの夢や目標を分かち合うことは大切ですが、その道中に現れる「困難の山」を一緒に見つめ、立ち向かえる関係性をつくることこそが、リーダーに求められる大切な役割かもしれません。
責任の押し付け合いを、どう打開するか
ぼくらの部門とA部門が協働で取り組んできた全社効率化プロジェクト。1回目のトライでうまくいかず、納期遅れや追加コストの負担が発生してしまいました。
大きな問題となってしまい、ぼくは今後の対応をどうするか、頭を抱えていました。
客観的に見て、原因はA部門の進め方にありました。しかし、彼らは「自分たちの責任ではない、悪いのはそっちだ」と主張し始めます。
ぼくのチームにはA部門に対する不信感が広がり、「もう、このプロジェクトは中止した方がいい」という切迫した声まで聞こえてきました。
さあ、どうしよう。ここでA部門を責めても、プロジェクトの失敗は確定です。一方でA部門の協力なしでは、この計画は完遂できない。
こんな時こそ、あるものに目を向ける出番です。
「できていること」を言葉にする、それが土台になる
ぼくは、1回目の実施結果を注意深く振り返りました。
たしかに全体としてはうまくいかなかった。けれど、よくよく振り返りながら、できたことを書き出してみると、彼らなりにチャレンジし、工夫して「機能していたこと」が5つも見つかったのです。
書き出しているうちに、ぼくの固くなっていた気持ちが、少しずつ柔らかく温かくなっていくのを感じたんです。
と同時に、A部門に対する「不信感」から、一緒に「困難に立ち向かう仲間」に変わっていきました。
相手の足跡を、未来への架け橋にする
先日、2回目の方針すり合わせ会議がありました。絶対に成功させるつもりでぼくは臨んでいました。
このプロジェクトを成功させるためには、どうしてもA部門に負担をお願いしなければならないんですね。なので、彼らにとっては「厳しいプラン」を提案しました。
ただ、いきなり厳しいプランをぶつけたら、反発されてしまうだけ。
だから、ぼくは本題に入る前に、1回目で彼らが残した「小さいけれど確かな成果」を、丁寧に、詳細に、時間をかけて伝えました。
言葉を重ねるにつれ、PCに視線を落としていた彼らの目線が少しずつ上がり、やがてぼくに力強い視線を返してくれました。
「そうです、私たちは頑張ったんです!」
彼らの心の声が、こんな風に聞こえました。彼らは、自分たちの努力や貢献が関係者に知ってもらえて認められたことで、沈んでいた心に灯火が生まれ、静かな手応えが宿ったように感じました。
その後の会議は驚くほどスムーズでした。彼らは自発的に「そのプランを実現するために、自分たちは何をすべきか」を考え始めてくれたのです。
協力関係の土台は、「すぐそこ」にある
この件がうまくいったのは、人の気持ちを大切にしながら、協力関係を築くための関わり方ができたこと。その関わりに、A部門もちゃんと応えてくれたからだと思います。
鍵は、相手の「できているところ」を、しっかり言葉にして伝えたこと。
今回は、本当に厳しい状況でしたが、あるものに目を向けることを信じて良かったと心から思います。
「あるもの」を大切に、誰かとつながって新たな一歩を踏み出していこう!
「できていること」を言葉にする。それが協力関係の土台になる。
責任の押し付け合いの中でも、相手の足跡を丁寧に見つめ直す。小さな成果を言葉にして伝えたとき、沈んでいた心に灯火が生まれ、会議は驚くほどスムーズに動き出した。あるものに目を向ける力が、人と人をつなぐ。
