振り返りが反省会になっていませんか?チームが前に進む対話のつくり方

振り返りが反省会になっていませんか?チームが前に進む対話のつくり方 実践ガイド
この記事はいかがでしたか?

この記事でわかること

  • ふりかえりが形骸化してしまう原因
  • ゴールイメージ・トークと3つのプログレス・トーク
  • 3つのコンプリメント(直接・間接・セルフ)の使い方
  • 反省会になっている会議の見分け方

「ふりかえりをやっているけど、毎回同じ反省のくり返しで終わる」「問題点ばかり出てきて、チームの雰囲気が暗くなる」。ふりかえりの場にこんな課題を感じていませんか?

ぼくのチームでも、かつてはふりかえりが「反省会」になっていました。何がダメだったか、なぜ失敗したか。そればかり話していると、チームのエネルギーがどんどん奪われていきます。

そこで取り入れたのが、解決志向のふりかえりです。問題の原因追及ではなく、うまくいっていることや望む未来に目を向ける。それだけで、ふりかえりの場がチームの成長を加速させる時間に変わりました。

ふりかえりが形骸化してしまう原因は?

多くのチームで、ふりかえりが形骸化する理由は明確です。「問題の洗い出し」に偏りすぎているのです。

一般的なふりかえりでは、「今期の課題」「改善すべき点」「失敗の原因」を話し合います。これ自体は悪いことではありません。でも、毎回このパターンだけだと、チームの会話は後ろ向きな話題で埋め尽くされます。

ふりかえりの場で後ろ向きな話題ばかりが出ると、メンバーは「またダメ出しの時間か」と感じるようになります。発言が減り、本音が出なくなり、形だけの場になっていく。これがふりかえりの形骸化です。

あなたのチームのふりかえりでは、後ろ向きな話題と前向きな話題、どちらが多いですか? もし後ろ向きが圧倒的に多いなら、バランスを変えるだけでふりかえりの質は大きく変わります。

反省会になっている会議の見分け方は?

自分のチームのふりかえりが反省会になっているかどうかは、後ろ向きな話題と前向きな話題の比率で見分けられます。

後ろ向きな会話が多い組織では、メンバーはいつも緊張していて、問題を指摘されないように身構えています。自分が思ったことを自由に話すことは少なく、周囲の空気を読みながら、受け入れられる会話をするようになります。会話が不活性で、閉じた組織です。

前向きな会話が多い組織では、メンバーは本音を話し、思いついたアイデアを共有し合えるようになります。問題の改善を話題にしながらも、未来を構想した希望のある会話が生まれます。開かれた組織です。

あなたのチームはどちらでしょうか。もし後ろ向きな話題が多いなら、それは伸びしろです。この見分け方はこちらの記事で詳しく書きました。

解決志向のふりかえりとは何か?

解決志向のふりかえりとは、「何がダメだったか」だけでなく「何がうまくいっているか」「どこに向かいたいか」を同じ重みで扱うふりかえりです。

企業活動はPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(検証)→ Action(次の行動)のサイクルで動いています。ふりかえりはこのCheckとActionにあたります。

従来のふりかえりでは、Checkの段階で「問題」にばかりフォーカスします。解決志向のふりかえりでは、Checkの段階で「うまくいっていること」にもしっかりフォーカスするのです。

うまくいっていることを見つけて言語化することで、チームの中に「ぼくらにはこういうチカラがある」「こういうやり方ならうまくいく」という自覚が生まれます。そして、その自覚が次のActionの質を高めるのです。

ゴールイメージ・トークと3つのプログレス・トークとは?

解決志向のふりかえり ゴールイメージ・トーク/3つのプログレス・トーク/3つのコンプリメント
ゴールイメージ・トークとプログレス・トーク、そしてコンプリメント

解決志向のふりかえりでは、3つのトークを使って対話を組み立てます。これはSFA(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)の対話手法をもとにしたものです。まず行き先を決めるゴールイメージ・トーク、そこから前へ進むための3つのプログレス・トークという組み立てです。

満足につながる ゴールイメージ・トーク

まず最初に、「望む未来の姿」を明確にする対話です。

「次の期末までに、チームがどんな状態になっていたら最高ですか?」
「この仕事が理想的にうまくいったら、どんな景色が見えますか?」

いきなり問題の話に入るのではなく、まず「どこに向かいたいか」を全員で共有します。目的地が明確になると、そこへ向かう道筋も見えやすくなります。

ポイントは、できるだけ具体的にイメージすることです。たとえば「売上を上げたい」ではなく、売り上げが上がった後に「何がどう変わったか」、場面が思い浮かぶように想像します。「お客様から『ありがとう』と言われる場面が増えている」「メンバーが自分から提案を出してくる」など。こうやって情景として描いておくと、売り上げが上がっていく(解決の)兆候を捉えやすくなり、さらに前向きに取り組める様になります。

ここからが大事なのですが、この「望む未来の姿」に感情的なつながりを感じられるかがカギです。

望む未来の姿の中に、メンバーや管理職それぞれの「極めて個人的な興味関心」が含まれていることがとても大切です。「組織のあるべき姿」のような、形だけを装ったゴールイメージとは違います。一人ひとりが「これは自分ごとだ」と感じられる未来像であることが、ゴールイメージ・トークの本質です。

① プロブレムコーピング・トーク

次に、「困難な状況の中でもがんばっていること」「踏ん張っていること」に目を向ける対話です。

どんなチームにも、うまくいかない時期はあります。そんなときにメンバーに「何がダメだったか」と問い詰めるのではなく、「大変な中でもやれていること」を認めることが大切です。

「このプロジェクト、厳しい状況が続いているよね。その中でも品質を維持できているのは、みんなが踏ん張ってくれているからだよ」

こうした言葉が、疲弊しかけたチームのエネルギーを回復させます。困難のただ中にいるメンバーにとって、「あなたのがんばりは見えている」という言葉がいちばんのチカラになるのです。

② サクセス・トーク

そして、「前回からの小さな進歩」を見つけて共有する対話です。

「今の状態を10点満点でいうと何点?」「前回のふりかえりのときと比べて、少しでも進んだと感じることはある?」

大きな変化は目につきやすいですが、日々の小さな進歩は見過ごされがちです。でも、チームの成長は小さな進歩の積み重ねです。それを意識的に拾い上げることで、「ぼくらは前に進んでいる」という実感がチーム全体に生まれます。

たとえ1点の進歩でも、「その1点はどうやって進んだの?」と掘り下げると、チームの中にある工夫やチカラが言語化されます。それが次の行動のヒントになるのです。

③ ソリューション・トーク

最後に、次の一歩を本人の言葉で決める対話です。

「ここまでの話をふまえて、次に何ができそう?」「そのうち、明日からやれるものは?」

ここでこちらから提案しないのがコツです。①と②で材料は出そろっています。その材料を使って本人が選んだ一歩は、言われた一歩よりずっと動きます。

コンプリメントの効果と使い方は?

3つのトークと合わせて大切なのが、コンプリメントです。労い、称賛、励まし、承認。メンバーのがんばりや工夫を認めて、言葉にすることです。前の記事で「認める言葉」としてお伝えしたものと同じです。

「ほめる」とは少し違います。良いことは、すでにそこで起きています。ただ、見えていないだけ。だから、あるものに光を当てる。そういう感覚です。

ふりかえりの場でコンプリメントを使うと、場の空気が変わります。

「今期、お客様対応が丁寧になっていたのは、○○さんが率先して動いてくれたからだよね」
「あのトラブルのとき、冷静に対処できたのは日頃の準備があったからだと思う」

コンプリメントは、誰が光を当てるかで3つに分かれます。

上司が当てる(直接)

見えた事実をそのまま言葉にします。「あの資料、見出しが整理されていて助かった」。感想ではなく事実で言うと、照れずに渡せます。

他人が当てる(間接)

他の人が見ていたことを届けます。「〇〇さんが、あの対応は丁寧だったって言ってたよ」「あの時の対応を、あなたが尊敬している◯◯さんが見ていたら、何て言うかな?」自分以外の目から届くコンプリメント(労い、称賛)は、とても嬉しいものです。

本人が当てる(セルフ)

「よく対応できたね。どうやってやったの?」と、工夫や努力を聞きます。すると本人が、自分のやったことを言葉にします。語っているうちに、自分の工夫に自分で気づく。こちらがほめなくても、結果として労いや称賛になるのがセルフコンプリメントです。

3つに順番はありません。誰が光を当てるかが違うだけです。その場面で使えるものを使えば十分です。

光が当たると、メンバーは「自分は見てもらえている」「自分の努力は無駄ではない」と実感できます。その実感が、次のチャレンジへのエネルギーになります。

コンプリメントは4つ目のトークではありません。ゴールイメージ・トークでも、プログレス・トークでも、会話のどこにでも乗せられる関わり方です。だから別枠に置いています。

ふりかえり方が、仕事の姿勢を決めてしまう

ぼくは「評価」というコトバに「批判」という印象を持っていました。評価面談は問題点ばかり指摘される場だったからです。「ここはダメだったから高い成績はつけられない」と、高い評価をつけられない理由としてダメだったことを持ち出される。評価が先にあって、後からダメなところを探しているんじゃないか。そんなふうにひねくれて考えていた時期もあります。

実体験:低い目標を立てるようになったメンバー

昔、ぼくのグループに中途社員のメンバーが入ってきました。前職は問題追及バリバリの職場だったそうです。上司は進捗ミーティングで問題ばかり追及してくる。詰めまくられたと言っていました。

そんな環境でどんなふうに仕事をしていたか聞いたら、こう答えました。

「失敗しないように低い目標を設定したり、失敗したときは言い訳を一生懸命考えてました」

ふりかえり方が、その人の仕事の仕方を大きく左右してしまう。もっと力を発揮できるはずなのに、問題ばかり追うリズムはチャレンジする気持ちを削ぎ、無駄な思考を増やしてしまいます。この話の続きはこちらです。

実体験:5年間かけて変わったこと

ぼくは当初、誰が見ても問題と思われる行動を繰り返すメンバーに、問題を直すアプローチをとって行き詰まっていました。従来のマネジメントや指導です。結果、ぼくもメンバーも疲弊してしまいました。

そこから「あるものに目を向ける」やり方に切り替えて、5年が経ちました。その5年間の記録はこちらにまとめています。

ふりかえりのやり方を変えたら何が起きたか?

ぼくのチームでは、ふりかえりのやり方を解決志向に変えてから、明らかな変化が起きました。

まず、メンバーの発言が増えました。「反省会」だった頃は発言するメンバーが限られていましたが、「うまくいっていること」から話し始めるようにしたことで、全員が何かしら発言できるようになりました。

次に、次のアクションが具体的になりました。問題点だけを話し合っていた頃は「気をつける」「頑張る」といった漠然とした改善策しか出ませんでした。でも「うまくいっているやり方」を言語化することで、「このやり方をあの場面にも応用してみよう」という具体的なアクションが出るようになったのです。

そして何より、ふりかえり後のチームの雰囲気が明るくなりました。「次もがんばろう」という前向きなエネルギーを持って現場に戻れるようになったのです。

実際の職場では、どう使われたのか

考え方だけを読んでも、明日の職場でどう動けばいいかは、なかなか見えてきません。ここまでの話が実際の現場でどう使われたのかを、連載にまとめています。

ふりかえりの仕方を変えた話は、No.29 振り返り方が仕事の姿勢を決めるにあります。やってきたことの意味を言葉にして伝えた話は、No.20 部下がやってきたことの素晴らしい意味を伝えるも。

解決志向の実践記事を読む →

よくある質問

Q. うまくいっていることばかり話していたら、問題が放置されませんか?

解決志向のふりかえりは問題を無視するものではありません。ゴールイメージ・トークで「望む姿」を明確にし、プログレス・トークで「現在地」を確認する中で、取り組むべき課題は自然と浮かび上がります。ただし、問題を「叩く」のではなく、「望む姿に近づくために何ができるか」という方向で考えるのが特徴です。

Q. トークはどの順番で使えばいいですか?

基本はゴールイメージ・トークから始め、そのあとプロブレムコーピング → サクセス → ソリューションの順に進めます。まず行き先を共有し、次に大変な中でやれていたことを認め、うまくやれたことを見つけ、そこから次の一歩を決める。この流れが最も自然です。ただし、状況に応じて柔軟に順番を変えても構いません。

Q. ふりかえりの頻度はどれくらいが適切ですか?

理想を言えば、毎日ふりかえる機会があるとよいです。短い時間でもよいので、できるだけ多く解決志向のふりかえりの機会をもちましょう。解決志向のふりかえりをくり返していくと、メンバーは会議に出たり、資料を作成したり、アイデアを考えるなどの仕事を進めるとき、少しでも仕事を進捗させることを意識してくれるようになります。メンバーはその進捗を報告(解決志向のふりかえり)することを楽しみにしてくれます。


実践ガイド
シンイチロウをフォローする
日替わり解決志向TIPS
日替わり解決志向TIPS
タイトルとURLをコピーしました