この記事でわかること
- マイクロマネジメントをやめる必要はない
- 部下が本当に嫌がっているのは何か
- PDCAのCを、どう見直すか
- これまでのマネジメントと解決志向のマネジメント、9つの違い
あるメンバーが、たびたび納期が守れないことがありました。
ぼくがやったのは、確認を増やすことでした。会うたびに、どこまで進んだのか、なぜ遅れているのかを聞いていました。
返ってくるのは、こんな言葉です。
「急に体調が悪くなっているのに、そんなこと言われても困ります!」
「他の案件が忙しいので、この案件は間に合いませんでした」
そのメンバーにしてみれば正当な理由だと思います。でも、ぼくからみたら言い訳にしか聞こえませんでした。
マイクロマネジメントは、やめないといけないのか?
「マイクロマネジメント」という言葉は、いまほとんど悪口として使われています。検索してみると、ハラスメント、パワハラ、うざい、適応障害、退職といった言葉が一緒に出てきます。
でも、細かく見ること自体が悪いとは、ぼくは思っていません。
マネージャーの大事な仕事は、部下の仕事を進捗させることです。誰が何を抱えているのか、その人がどんなやり方だと力を出せるのか。よく見ていないとわかりません。
問題は、細かく見ることではなくて、どこを細かく見ているかでです。
ぼくは、評価面談で「できていること」のほうを細かく伝えるようにしています。ある面談のあと、メンバーからこんなことを言われました。
「わたしのことをよく見ていただいて、気づかなかったことまで伝えてもらったことがとても嬉しかった」
自分の努力や工夫を見てくれているのは励みになります。細かく見るのは、部下の良い点です。
見直すのは、PDCAのどこか?
進捗を確認するのは、マネジメントの仕事です。計画して、実行して、検証して、次の行動を決めていきます。
解決志向の働き方を定着させるポイントは、このPDCAのサイクルをちょこっと見直すことです。大げさなことをする必要はありません。
見直すのは、C(検証)のところです。ここで何を話すかを変えます。
従来のCheckではスルーされがちな「出来たこと」に焦点を当てた対話を、メンバーとします。そして次の課題解決のためのリソース(すでにある力)発見につなげます。
これが、解決志向のPDCAになります。
Checkで話す順番は、出来たことが先、出来なかったことは後。この順番が大事です。
プラス面について考えた後でマイナス面の問題に焦点を当てていくことで、問題に対処していく心構えもできてきます。いきなり問題に焦点を当てるよりは、抵抗感が軽減されます。
また、この解決志向のPDCAを繰り返すことで、報連相が自発的に行われる様になります。
ただ、メンバーがトラブルや問題に困っていて早く共有したいときは、最初にキモチを受け止めつつ問題をしっかり聞いてあげてください。
これまでのマネジメントと、9つの点で比べてみる
解決志向のPDCA(マネジメント)を実行するときに、拠り所なるポイントがあります。そのポイントを従来のマネジメントと比較してわかりやすく記載しておくので、参考にしてください。
| 見るところ | これまでのマネジメント | 解決志向のマネジメント |
|---|---|---|
| 人と向き合う姿勢 | 相手は支援が必要な人 | 相手はチームの成果をつくる協力者 |
| マネジメントの目的 | 目標達成と、部下の育成 | 目標達成と、部下の満足度 |
| 優先すること | 計画進捗の管理とコントロール | リソース(すでにある力)に基づく前進の支援 |
| 焦点 | 出来ていないことと、その原因 | 前進するリソースの発見と拡張 |
| 組織のあり方 | 目標達成のための装置 | 部下を力づける、安全なホーム |
| 指導法 | 指示や知識、考え方を教える。やってみせる | 行動のきっかけをつくり、前進を見つけて言葉にする |
| コミュニケーションのあり方 | 上位下達 | 相手志向 |
| 部下のモチベーション | 達成感、成功体験 | 自分なりの満足感 |
| 解決行動へのコミットメント (やると約束すること) |
事前に約束を求める | 事前には求めない。あとから「ちょっとでもやれた行動」を聞く |
9つ全部を変える必要はありません。ご自身にフィットした着眼点があれば、マネジメントに取り入れてみてください。
実体験:確認をやめたら、向こうから来るようになった話
冒頭のメンバーの話に戻ります。
確認を増やしても、納期は守られませんでした。
「今のこのメンバーには、難しいことを要求しているんだな…困ったなあ。何か他のやり方を考えなきゃなあ」
こうした行き詰まった時に、9つの着眼点を見て視点を変えます。このケースでは、「優先すること」「焦点」に着眼しています。
きっかけは偶然でした。ぼくか部下にリモートで予算計画づくりの説明をしていました。しかし、ぼくが説明しているにも関わらず、そのメンバーはブツクサと独り言を言いながら予算計画の作業していたのです。
以前のぼくなら、「ちゃんと聞いてほしい」と思ったかもしれません。でもこの時気づいたんです。
「ん?…ちゃんと自分で考えながら作業してるなら、この状態もありだよなあ…この部下は、リモートでぼくが同席をしていれば作業を進めやすいのかも」と思って、ひと段落するまで続けてもらいました。
私:「次回もこのスタイルで進めるのはどう?」
部下:「そうですね、リモートで同席いただきながらだと、しっかり時間を確保できるし、落ち着いて取り組めるので良いです。わからないところもすぐに質問できますので」
その後はリモート同席で進めることにしました。数回続けたあと、変化が起きます。
「別件が落ち着いてきたので、ここまでは一人でやっておきます。メールしますので、良い時にチェックしてください」
こちらから確認しなくても、向こうから報連相が来るようになったのです。
「できているところ」を見つけて活かすことで、大きな成果を出すことができました。
このときのやりとりは、連載のほうに詳しく書いています。No.2 部下が自分から動き出す育て方:「うまくやれてる」を見つけようです。できていることに目を向けるとチームがどう変わるかは、解決志向の実践記事にまとめています。
明日から1つだけ変えてみよう
次の進捗確認の場で、聞く順番を変えてみてください。
「あの件、どうなった?」を、「最近うまくいったことは?」に。
うまくいった話が出てきたら、「それ、どうやったの?」と聞いてみてください。掘り下げてかまいません。できているところなら、掘られるほどうれしいものですから。
できていないことは、そのあとで聞けば大丈夫です。
よくある質問
Q. 細かく見るのをやめないといけませんか?
いいえ。よく見ているからこそ、力になれます。変えるのは、どこを見るかです。
Q. 問題を見ないということですか?
そうではありません。出来たことが先、出来なかったことは後、という順番の話です。
Q. 自分のやり方を変えるのは難しくないですか?
従来のマネジメントでうまくいかなかった時に、一度立ち止まって9つの着眼点で見直してみてください。自分の中にある「当たり前」を疑ってみる。目の前の景色を変えて、チームの可能性を広げていきましょう。
おわりに
この記事は上司の立場で書きましたが、見る場所を変えるのは役職と関係ないと思っています。後輩の相談を聞くときにも、自分の仕事をふりかえるときにも、同じことができます。
言われたことしかやらない、と感じているときは、部下が指示待ちになるのは上司のせい?自分から動き出したチームの記録が近い話です。ふりかえりが反省会になっているときは、振り返りが反省会になっていませんか?チームが前に進む対話のつくり方も。

