明るい未来が描けない
ぼくのグループには契約社員のメンバーがいます。うちの会社としては数少ない契約社員の一人です。定年は変わらず60歳ですが、やはり給与体系が正社員と異なり、決して良いとは言えません。
そのメンバーは、一生懸命仕事をしてくれます。しかも能力が高いんです。ただ、必要なこと以上はしません。しても給与が変わらないからです。年数も重ねてきて、昇給も頭打ちになり、毎期の評価が上がってもスズメの涙ほどの増額にしかなりません。
一言でいえば、明るい未来を描けていないのです。給与が上がるとか、ボーナスだけでも大幅に上がるとか、いろんな意味で正社員と同等の扱いを受けるとか、そういう明るい未来はない、そう思っているんです。
ぼくの見立てでは、そのメンバーは能力の1/10も発揮していません。会社の制度が能力の発揮に歯止めをかけているんです。とても残念です。
「なんてこった。これじゃ本人も会社もハッピーじゃないなあ」
というわけで、10月中旬に実施した第3四半期の評価面談で話しあってみました。希望が持てる未来を一緒に描くために。
評価面談での対話
第3四半期の評価フィードバックをした後で、今後のことについてぼくから切り出しました。
ぼく「第4四半期は他のメンバーと連携できそうなクリエイティブに携わってもらいたいと思ってるんだよね。スキルアップにもつながるし、メンバーやグループへの貢献にもなるので、ぜひお願いしたいんだけど、どうかな?」
そのメンバー「MACの仕事ですよね。色々考えてくださっているのは分かっています。スキルを身につける計画もよくわかりましたし、なんとか習得できる気がしています。でもモチベーションがわかないんです。今の仕事にプラスになって大変になるうえ、給与も上がらないし、ボーナスも1ヶ月分だけだし。正社員の人とは違うんです」
そのメンバーは、頑張っても報われないことに失望感を感じていました。ぼくは、よりクリエイティブな仕事に携わっていけば、新しい分野だし、面白みを感じてくれるんじゃないかと思っていたんです。少し仕事は増えてしまうかもしれないけど、面白みで乗り越えられるかなって考えていた。でもそれは甘かった。
そのメンバー「グループにとって必要なのは分かってるんです。私も受けた方がいいと思っています。頭では分かっているんですけど、なんというか心がついてこないんです。苦しいだけで。苦しくないように仕事をすればいいですけど。正社員の方々のように、やれば見返りがあればいいですけど」
当然だよな。頑張ったら何かしら見返りが欲しい。今、働きに対してあまりにも給与が低いと感じている。
将来の不安に寄り添う
そのメンバー「私も結構歳なので、目も疲れますし、からだもキツい時があります。今の仕事の仕方で、あとどれだけ会社で働けるかわからないです。この先の不安もあります」
そうか。将来のことも考えて不安を感じているんだ。そこでピンときたのが、MACのスキルを生かした仕事です。仮に会社をやめてもデザインソフトを使えるスキルがあれば、お金を稼ぐことは可能です。ぼくは提案してみました。
ぼく「ぼくも最近目の疲れがひどくて頭痛になることもあるよ。PC使う仕事だから目が疲れると困るよね。可能な限りこのグループで頑張ってほしいと思ってます」
「それでね、MACのデザインソフトを使えるスキルは会社をやめてもお金を稼ぐことができるよ。特にうちの会社でMAC使って仕事をしていたとなれば、それだけでも仕事のキッカケ掴みやすいし、スキル習得はシニアメンバーがマンツーマンの指導を引き受けてくれました。会社を辞めた後でも役立つスキル習得になるよ。会社は実践を磨く場として使ってもらったらいいんです」
そのメンバーの表情を確認しながら伝えてみました。不安げな表情は薄れ、希望は未だ見えずとも希望の存在には気づいてくれたような気がしました。
そのメンバー「え、そうなんですか、シニアメンバーがですか。モチベーション上がるまで行きませんが、苦しくないようにはできるかもしれません。やってみないとわかりませんけど。今までと違う新しいことをやるのも抵抗感があるというか、ないわけではないので」
ぼく「そうだよね。全く新しいことだもんね。やってみてダメそうならその時相談しよう。年内に購入と納品を済ませたいからMACの購入決済進めてもらうね」
希望のある未来へ
完全に前向きに受けてくれたとは言えません。でも将来の不安に少しでも寄り添った提案を伝えることができたような気がしています。これからの進め方次第ではあります。
いまやっていることが、明るい将来につながるんだと、希望を持って働くことは大事だと思います。1月から本格的にそのメンバーの新たな挑戦が始まります。一緒に頑張ろう!
新しい景色をみて、希望のある未来を描こう!
今の仕事が「将来の自分」につながると思えたとき、人は動き出す。
給与や制度だけでは動機づけられないメンバーがいます。そんなときは、仕事を通じて得られるスキルや経験が、その人の将来にどうつながるかを一緒に考えてみる。それが希望の種になります。
