メンバーの得意を仕事へつなぐ

Rate this post

定年を迎えたシニアメンバー

チームのあるシニアメンバーが定年を迎えました。今後はシニア社員として一緒に仕事をしていきます。中途入社で20数年。続けるだけでもすごいことです。

このメンバーは見かけや考え方を含めて、とても定年という感じではありません。毎朝走って体力を維持しながらサーフィンを楽しんでいます。

先日オフィスで二人きりのときに給料の話になりました。定年になると大幅に減額になるとのこと。ぼくはマネージャーとして、減額になってからのこのメンバーの心境が気になっていました。

今後もやりがいを持って働いてもらうために、チームに貢献できて、しかも周囲から評価されるような仕事を作りたいと思っていました。

「やる気なくなるよね」

「もうさあ、やる気なくなるよね。給料めちゃくちゃ減ってもやること変わらないんだよ。やんなっちゃうよ」

「そうですよね。副業も解禁になったし、副業っていう手もありますよ」

「そうだけどさあ、そう簡単じゃないよね。仕事だって何でもいいわけじゃないし。お金のためだけじゃないしね」

確かにやりがいのある副業は簡単には見つからないだろうし、探すのに時間もかかります。

以前、このメンバーは会社にいる間は好きなデザイン制作の仕事で終わりたいと言っていました。デザインのことを話しているときは目が輝いています。

ぼくのチームは手を動かしてデザイン制作すること自体が仕事のメインではありません。以前、このメンバーはデザイン制作の前部署に戻りたいと異動願いを出しましたが、前部署での評判がよくなかったため、異動は叶いませんでした。

そんな経緯があったので、このメンバーのデザイン制作スキルを活かして活躍できる機会がないか窺っていました。そして朝会でメンバーが外部で作っているデザインについて、アドバイスをしてもらうことを始めました。

アドバイスは的確で、大変役立つものでした。チームメンバーからのリスペクトも高まっていきました。

「自前のデザイン制作」を仕事にする

このシニアメンバーがもっと活躍して評価されるためには、自前でデザイン制作することをチームの仕事に昇格させてしまうことだと考えました。そうすれば、上層部や関係部署、人事部から見て、デザイン制作をリードするこのメンバーの立場や印象は高まります。シニア社員の中でもトップクラスの給与をもらえる可能性がある。

ちょうど別のメンバーが、営業部門から短期でたくさんのデザイン制作依頼を受けていました。お客様のサイクルが早くなっており、営業がそれに対応していたのです。その要請に応えるために、そのメンバーは外部へ制作依頼を出すと同時に、簡単なデザインは自分で制作し始めていました。

ぼくはその様子を見ていて気づきました。営業部門からの依頼は今後も増えそうだし、そのメンバーの対応に営業はすごく感謝している。しかもそのメンバー自身もデザイン制作スキルを高めたいと望んでいる。

「自前でデザイン制作すること」をチームの仕事にしてみよう。そう決めました。

デザイン教室がスタート

とはいっても、すぐに自前のデザイン制作を仕事にできるわけではありません。チームメンバーのほとんどは、自前でデザイン制作するだけのスキルがありません。

デザイン制作スキルで先頭を走っているメンバーはオンライン研修も受講していましたが、わからないことが出てくるとシニアメンバーに都度質問しています。実践のコツは、仕事で使っている人に聞くのが一番のようです。

そこで、シニアメンバーにデザイン教室を主催してもらったらどうかと相談してみました。

「最近は朝会でデザインのアドバイスもらっていますが、さらに体系的なデザイン教室を企画してみるっていうのはどうかな?デザイン事務所に協力してもらうのもありですよね」

「いいね!デザイン事務所にも協力してもらって、実践に役立つプログラムをつくるよ。外の講習は教えることが多すぎて効率悪かったりするし」

「よろしくお願いします!ぼくもスキルを身につけるために参加します」

「事前課題だすからしっかりやってよ!」

「なんとか時間見つけてやります!」

得意がチーム力に変わる

こうしてデザイン教室の企画が動き出しました。こういうときのシニアメンバーは動きも早いし、入念に準備を進めていきます。

朝会でデザイン教室を主催してくれることをメンバーに伝えたところ、メンバーたちは大喜びでした。

「デザイン教室ありがたいです!いまは都度アドバイスもらってますが、体系的に学びたいと思っていました。実践的なのはうれしいです!」

「それならちょうどいいよ。仕事につながることしかやらないから」

ぼくも事前課題をやって臨みましたが、飲み込みが悪い方なので落ちこぼれ気味でした。メンバーたちはたくさん質問しながら、有意義な時間を過ごしていました。

教室が終わった後、シニアメンバーはみんなからヒアリングして次のプログラムの企画に入りました。もっと役立つ内容にしていきたいそうです。

教える方も教わる方もやることは増えているのに、前向きな活気が出てきました。

メンバーの得意がチームを強くする

今回のデザイン教室で起きたことを振り返ると、3つのことがつながっていました。

ひとつは、シニアメンバーの「デザイン制作」という得意を活かす場をつくったこと。ふたつめは、スキルを身につけたいというメンバーのニーズとつないだこと。みっつめは、営業部門の要請という事業上の必要性とつないだこと。

メンバーの得意、メンバーの意欲、事業のニーズ。この3つが重なるところに仕事をつくると、組織として成果が出るだけでなく、メンバー一人ひとりの満足や成長にもつながります。

定年を迎えて「やる気なくなるよね」と言っていたシニアメンバーが、チームの中で頼られる存在になり、自ら次のプログラムを企画している。この変化が、何よりの答えだと思います。

メンバーの得意を見つけて、仕事につなげよう。

得意なことで貢献できる環境があれば、人は自ら動きます。年齢やキャリアに関係なく、一人ひとりの「得意」がチームの力になります。

日替わり解決志向TIPS
日替わり解決志向TIPS
タイトルとURLをコピーしました