あるものを活かすチームマネジメント 5年間の振り返り

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はじめに

チームマネジメントに本気で取り組み始めて5年が経ちました。なんとなく区切りがいいなあと思ったので、この5年を通じて、あるものに目を向けて運営してきたチームが、何をして、どんな姿になったのか。そして、どんなことに気づいたのか、軽くまとめてみたいと思います。一つでも使えるものが見つかれば幸いです。

1. あるものに目を向ける「スイッチ」

ぼくは当初、誰が見ても問題と思われる行動を繰り返すメンバーに、問題を直すアプローチ、つまり従来のマネジメントや指導をして、行き詰まっていました。結果、ぼくもメンバーも疲弊してしまったんです。どんどん関係が悪化しました。

それで、どうしようもなくなって、開き直った先に、あるものに目を向ける姿勢へ舵を切ったんです。計画的に切り替えたわけではないです。メンバーとの関係が悪化して、困りに困って、「これって何か違うよな。メンバーとは協力関係をつくらないと成果なんて出せないよな」と思い直して、「切り替えのスイッチ」が入りました。

そして、相手の立場に立って「あるもの」に目をむけて、前に進む姿勢に切り替えたんです。問題を置き去りにして、メンバーの抱える事情(家庭の事情や気持ち)を知って、踏まえて、既に持っている「あるもの」(出来ていること・関心ごと・意欲)を活かす道を選び、実践していきました。

2. マイホーム(朝会)づくりと個性の開花

この実践の土台となったのは、毎日続けていた「朝会」です。これを業務連絡だけでなく、不安や気持ちまで話せる「安全基地」として継続した結果、チームは気持ちまで含めた互いの状態を知り、協力し合う強い関係性へと変化しました。この土台の上で、メンバーの個性の開花が始まりました。

例えば、「仕事をしない」と見なされていたシニアメンバーは、環境への関心を仕事につなげた結果、全社環境プロジェクトのリーダーとして大活躍し、本部長賞まで獲得しました。

また、仕事が計画どおり進まず、仕事を任せきれないサブリーダーは、ぼくと一緒にリモート同席していると「うまく仕事が進む」という観察に基づき、「リモート同席スタイル」を採用して計画達成していきました。今や全社発表会のリーダーをお任せして活躍されています。

さらに、組織として重要なデジタル業務に強く抵抗したあるメンバーについても、今どのくらい意欲があるか対話してみたら、「新しいことを学ぶ意欲」という見えない強みや「会社への貢献意欲が高い」ことに気付きました。新しいデジタル技術は、会社に大きく貢献できるテーマであるという意味を伝えたことで、チーム内でデジタル推進を引っ張る存在にまで育ってくれました。

3. 「気持ち」を知る大切さの再認識

しかし、チームは感情的な課題に直面します。メンバー間の嫉妬からくるコミュニケーションのトラブルが発生。そのメンバーが苦しんでいることに気づきませんでした。

当時、ぼくのチームは新しい仕事を担い、高い目標達成を求められていました。なので、気持ちまで聞く「朝会」を業務効率優先のコミュニケーションへ移行したんです。朝会を進化させようと思ったんですね。結果、気持ちまで聞くことが減ってしまいました。

そのツケがきて、そのメンバーが、ぼくのチームから異動希望を出すくらい、つらい状況まで追い込んでしまいました。すぐにフォローしたので、異動まで至らなかったのですが、組織運営において、仕事の状況だけでなく「気持ち」まで知ることの大切さを痛感させられたのです。

4. メンバーの気持ちを乗せた戦略をつくる「攻め」

チームマネジメントはさらに進化します。メンバーの気持ちを聞く中で重要なことは、「大切にしていること」を聞くことでした。大切にしていることは、メンバーごとに違うし、1つだけでなくいくつもあります。

最も好ましいのは、仕事とメンバーの大切にしていることが関連づいていて、仕事を通じて、その大切にしていることが成就されていくことです。あるものを活かすチームマネジメントとしては、ここが真骨頂であり、攻めの部分です。

メンバーが大切にしていることは、朝会での報連相、業務中の雑談、仕事の進め方の観察、一緒に食事をしている中で垣間見えることがあります。このような各メンバーが大切にしていることを起点として、組織目標を達成する戦略をつくっていくと、メンバーの大切を成就できるマネジメントの準備ができます。

そのメンバーはデジタル業務を進める中で、デジタルに対する興味が高まり、組織貢献を実感し、自信を育ててきました。キャリア志向の高い彼にとって、デジタル業務は大切な存在になっていきました。

2023年、デジタル領域の拡張として、「デザイン業務への生成AIの活用」という新しい挑戦的なテーマを設定しました。このとき、このテーマが成果につながるか未知数でしたが、僕らのチームが進化し、5年、10年会社に貢献していくには、今やらねばと考えていました。

そしてそのメンバーの興味関心に沿って目標を達成できる戦略をつくり、本人と共有して、しっかりと気持ちも乗せた戦略に仕立てることができました。こうして、テーマと個人の興味や大切が結びつくことで、自発的に、かつ強い推進力でテーマに取り組む準備ができました。

5. 主体性をもった挑戦を支える「守り」

ただ、挑戦には失敗や遅れがつきもの。途中でうまくいかない状況が続いて、モチベーションが下がったり、目標達成できないんじゃないかと不安になったり、こんなことやってて意味があるんだろうかと悩んだりします。

なので、メンバーのモチベ低下や不安、悩みを払拭する「守り」が必要です。「守り」としてリーダーができることは、日々の報連相や期末評価フィードバックなどで、テーマに対する興味を高め続ける発信をしたり、やってることの貢献(意味)を伝えたり、失敗しても「いつでも味方だよ」という姿勢をとり続けることでした。メンバーは鼓舞されるというより、内側の興味や意欲が再燃し、主体性を継続することができます。

補足なのですが、会社にとって都合の良いように「成長」とか「キャリア」の目標を社員に設定させ、その目標を達成するために、仕事を与えるやり方と「一人ひとりの可能性を活かすアプローチ」とは違います。「可能性を活かすアプローチ」は主体性を前提としたアプローチです。

この入り口をはき違えてしまうと、メンバーは「組織という場を使う個人」というより、「組織に使われる個人」になってしまい、主体性が損なわれてしまいます。あるものを活かすチームマネジメントは、主体性を大切にします。

6. 「窮屈なマネジメント」から「自分らしいマネジメント」へ

5年間の道のりを振り返り、今、強く大事だなって感じるのは、リーダー自身が「窮屈なマネジメントの制服」を脱ぎ捨て、自分らしさを中心に据えることです。

会社から与えられた「こうあるべき」という役割や、出来合いのマネジメント手法に縛られる必要はありません。まずは目の前のメンバー一人ひとりの個性と向き合い、自分自身が見て、関わって、体験して感じたことを大切にしながら、十人十色の仕事の進め方をクリエイトしていくことが望ましいと思っています。

また、小さなことでもメンバーの気持ち(モヤモヤ、シコリ)を分かる機会は、「感情的なボトルネック」を抑制し、メンバーの力をスムーズに流していくのに必要不可欠です。

さらに、リーダーは「いつでもキミの味方だ」という姿勢を貫き、主体性を前提として一人ひとりの可能性を活かすアプローチをとり続けることで、メンバーは輝き始めます。

7. 最後に

新しいメンバーが加わる年になります。次はどんな景色を見せてくれるんだろう。いまからワクワクしています。

これからも、一人ひとりの「あるもの」を大切にしながら、チームの可能性をひらいていきたいと思います。

5年間の振り返りで見えてきたこと。

問題を追うマネジメントに疲弊し、あるものに目を向ける姿勢に切り替えた。朝会を安全基地にし、メンバーの大切にしていることを起点に戦略をつくり、「攻め」と「守り」で主体性を支える。窮屈な制服を脱いで、自分らしいマネジメントをクリエイトしよう。

日替わり解決志向TIPS
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